味覚音痴のお店
イソさんが時々、「オッサンキッチン」と題して料理の写真をアップしている。
全く料理をしない僕からすると尊敬の眼差しで眺めるしかないけど、こういうのを色んなジャンルで見かける。業界のトップレベルのステージでいる人が、違う分野でも「学び方」を瞬時に理解するということにおいて。
もしイソさんが美容師と同じ熱意で料理人をやっていたなら、料理界でも凄い人になれたんじゃないかと思う。ここは本当に大切な部分なんだけど、本物を見て本物と解らない人が、それを作る事はできない。だって、解ってても作る事は難しいんだから。
「味覚が音痴のお客さんで繁盛しているお店」という言い方がある。飲食店に限らず、音楽でもファッションでも美容でもそれはあるだろう。
「お客さんが味覚音痴」であることに目をつぶるスタイルのビジネスはだいたい儲かるようになっている。だって世の中には音痴の方が多いんだから。でも、それを「マーケティングでは正解」といわれるのは、とても不愉快になることがある。少し前に話題になった水素トリートメントとか。
「俺は音痴向けに商品を作ってない!」というのが職人のプライドだ。
真の正解があるとするなら「本物が解る人を納得させた上で、音痴の人にも感動を与えられる」というのが理想なんだけど。
つい数年前までは、美容師でブログをやっている人は少数派だった。でも今は、ブログでターゲット・セグメンテーションが当たり前。
「15日間でカットができるようになります」みたいな話もそうだけど、「15日間で学んだ人に切ってもらいたいお客さん」がいるんだろうから何も問題ないわけで、特にそれを批判するつもりはない。
高級イタリアンの常連客がサイ〇リアに来て「美味しくなさそうなものを食べて喜んでるんですね」なんて言わなくていいし、その反対も必要ない。
ただし、イソさんの例でいえば「高いレベルで戦える美容師の基準」というのを自分の仕事で体感していると、料理を作る時にもそのクオリティが反映されるんだろう。
僕はミニ四駆が速くなったら「速くなったぜ」ってツイッターで全世界に向けて自慢しちゃうんだけど、イソさんは「俺は美味い料理が作れるようになった」なんて口が裂けても言わないタイプだと思う。
(オッサンキッチンのグラタン。ホワイトソースも自家製らしい)
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